家づくりの相談をしていると、間取りの相談の中でも寝室の扱われ方がとてももったいないと感じることが多々あります。
間取りの打ち合わせをしている時でも、まず最初に始めるのは リビングの話、その後キッチン、ダイニング、子供部屋、お風呂、トイレ、最後に主寝室。
寝室は、ほぼ最後に付け加えくらいの扱い。
しかも、寝心地、睡眠の質を考えるのではなく、だいたいがクローゼットとの位置関係がほとんど・・・。
せっかくこれからの人生の為に家づくりをするのですから、 寝室のことも、もう少し大切に考えてみませんか。
ではなく、大切にしなければなりません。
睡眠時間は人生の1/3なのです。
睡眠は大事! と言うのは、いまさら言われなくてもわかってる!! と、お叱りをうけそうですが、一度考えてみてください。
ご自身の寝室のこと。
あなたは睡眠時間どれくらいですか?
6時間?7時間?8時間? それとも、5時間?4時間???
正解というのはありませんが、7時間+α 程度が最も健康リスクが少ないという統計が出ています。
ただ個人差があり、個人個人適切な睡眠時間は違うそうです。
あなたは、しっかり睡眠を取れていますか?
取れていない方は、何が原因なのでしょうか?
「残業続きで睡眠時間が確保できない。」
「子供と主人の時間帯が違い、合わせるために睡眠が取れない。」
「夜型人間だから、朝は苦手だから?睡眠時間が少ない。」
多くの方が睡眠に対して不満や不安を持っているのは、書店に行けば睡眠不足解消の為の本を数多く売っているのでよく分かります。
実は、私もその一人。
その上で、ご自身で睡眠の質を落としているのかもしれません。
思い当たるようなことはありませんか?
「寝室にいく前にリビングでうたた寝をして、 寝られなくなったりしていませんか?」
「寝る直前まで、明るいリビングでテレビをずっと観ていたりしていませんか?」
「アルコールを飲んだ方が、ぐっすり寝られるとは思ってはいませんか?」
これらはすべて睡眠を減らすことです。
睡眠不足が引き起こす残念な結果
原因はともあれ、睡眠不足が続いた時のいくつかの「もったいない」を知っておいたほうがよいでしょう。
機能低下、反射神経の鈍化、判断ミス、やる気の停滞。
よく実感するのが疲れの蓄積。
意志力の専門家によると、精神的エネルギーは睡眠中に回復し、日中の時間の経過とともに消耗してしまうそうです。
それは、起きている間に夜に近付くほどセルフコントロールができに くくなっていく、ということを意味します。
つまり、夜遅くなるほど、食べ物やアルコールの自制ができなくなり、まあ、今日くらいは・・・となってしまう。
これは、意志が弱いというよりは、人類共通の習性 のようです。
睡眠不足が重なり、疲れが溜まっていればいるほど、意志が弱く なっていく悪循環となり、いろいろな面で悪影響が出てくるのです。
この流れを断ち切るためにも、睡眠時間が取りにくいなら、質の良い睡眠が取れるよう考え、寝室を工夫するのも一案ではないでしょうか。
睡眠の質を考える
家づくりの時は、寝る為の寝室より、起きている時に快適な生活をする為の空間に、お金をかけた方がいいと思われるのもごもっともですが、少しガマンしてこのまま読んでみてください。
あなたは、睡眠の質について考えたことがありますか?
バブルの時に流行ったCMがありました「24時間戦えますか!?」
寝ずに働くのがエリートの証みたいな風潮もありました。
でも、今は違います。
脳の研究も進み、睡眠が人間にとってどう大切なのかもわかるようになってきました。
神経科学者のラッセル・フォスター先生は、
こちらで睡眠についてわかりやすく教えてくれています。
20分の動画ですので、ぜひ一度御覧ください。
リンク元
ラッセル・フォスター: なぜ人は眠るのか? | TED Talk
日本語訳付リンク
TED日本語 – ラッセル・フォスター: なぜ人は眠るのか?
要約すると
”良い睡眠は集中力や 注意力 決断力 創造性 社会性健康を高め、気分の変化やストレス 怒りや衝動性 飲酒や喫煙嗜好を抑えられるとのことです。
昔から言われていることでもありますが、睡眠を大事にすることは、体にも精神的にも健康に過ごせる大変重要なこと。”
何となく分かっているようなこととは言え、じっくり説明されると納得します。
良い睡眠をとるための寝室とは?
では、質の高い睡眠をとるためには寝室をどうすればよいのでしょう?
寝室の音、光、温度と湿度、そして、寝具。
これらをコントロールできれば、まず良い寝室を得られます。
ここでは、寝室の温度と湿度についてお伝えします。
寝室の室温はどれくらいが良いのでしょう?
日本睡眠科学研究所のホームページによると
温度については夏場は約25℃~26℃、冬場約22℃~23℃、湿度については50%~60%が理想的である。
良い睡眠の条件|日本睡眠科学研究所
より引用
普通のご家庭ではどうなのでしょう?
ちなみに、京都市の2015年のデータを見てみると、
夏、8月
最高気温の平均値は 33.6℃
最低気温の平均値は 24.6℃
適温が26℃なら、気温が下がる深夜は冷房無しでも良いはずですね。
でも、実際はそうではないはずです。
これは、建物が昼間の間に熱せられ温められているため、外壁や屋根が逆にヒーターのようになります。
断熱材が十分入っていないと、夜になるとこの熱が室内に残り、室温がなかなか下がらないのです。
ですから、実際の室温は外気よりも高い状態のままになっている場合が多いのです。
しかも京都の猛暑、夜中でも30℃なんてざら。
エアコンの設定温度を間違えると、夜中に大汗をかいて目が覚め、その後寝られず朝から一日なんとなく集中できずに・・・、なんて日が増えてしまいます。
しかも、こんな方も多いのでは?
妻と私とでは、望むエアコンの設定温度が違うのです。
どちらかというと、私の方が少し高めの温度を好みます。つけている時間も短いほうがいい、けど夜中に目がさめるのは嫌。
ご夫婦で逆のほうの方が多いかもしれませんが、いずれにしても同じ部屋を使う家族の中でも設定温度が違う問題。
最近のエアコンは相当優秀なので、風が出にくい設定であったり、省エネ設定であったり、除湿がいいとか、いやいや除湿のほうが電気代がかかるとか・・・、それでも夫婦共にドンピシャにはなりにくいですね。
次の日の充実を考えると、寝る時はしっかり睡眠を取りたいものです。
睡眠は時間も大事ですが、やはり質も大事。
さらに最近では、室内での熱中症の危険性をテレビのワイドショーなんかでもよく伝えられています。
寝室は、夏の環境を整えることがとても大事です。
では、冬はどうでしょう?
同じく京都市の2015年のデータでは冬、1月
最高気温の平均は 8.4℃
最低気温の平均は 2.2℃
寒いですね。
一晩中暖房をかけることはあまりしないですから、寝具を沢山かけて、包まって寝るというのが普通です。
そして、朝は部屋が寒くてつらい、なかなか起き出せない
ご家庭によっては、暖房をタイマーでつけて少しは暖かくして起きやすいようにされているかもしれませんが、日本の家は冬の朝はかなりつらい家になっているのが普通ではないでしょうか?
一方、寝ている時は布団をかぶるし、寝るタイミングでエアコンは入れているから寝室は朝の寒ささえしのげれば問題ないと考えていませんか?
真冬、寝室が寒くても布団をかぶれば暖かい!は危険
実はこれには落とし穴があります。
寝ているときの室温も、あまり低いと問題があるそうなのです。
寝ている時、顔は布団から出ています。
呼吸はその顔から息を吸いますね。
それは、冷えた寝室ならその冷えた空気を吸うことになります。
それはそのまま肺に入ります。
ということは、冷えた空気を肺に取り入れることになります。
これが体にはダメージを与えるということのようです。
若いうちは問題なくても、お年寄りが冬場に肺炎で亡くなる、どうもこれはそういう事が原因なのかもしれません。
家の中が部屋によって暖かかったり、寒い部屋があるのは体に良くないというのは、「体に良くない」でお伝えしましたが、ある程度以下の寒さは人間にとってはあまり良くないようです。
「春眠暁を覚えず・・・」と昔から言われていますが、これは、春になると気候がよくなり寝やすくなり、ついつい寝過ごしてしまうという意味です。
昔から、冬の寒さの中で寝るのはなかなかつらいものだったのですね。
時代は進んで現代、いろいろな技術が発達したのに、昔と同じいいのでしょうか?
質の高い寝室を手にいれる方法
実は、すでに快適な睡眠を確保されている方がいます。
しかも、北海道や東北地方の方のほうが数多く手に入れられています。
どうすればいいのか?
住まいを高気密高断熱にするというのは、たいへん有力な解決策です。
高気密高断熱の家で、「良質な睡眠」を確保できる快適な家は、断熱性能を上げて、気密をしっかりし湿度をコントロールした家です。
断熱性能を上げる事で、夏は室内に熱がこもらないようにします。
昔の家の蔵をご存知ですか?
壁の厚さは30cm近くあり、屋根も土を載せた上に瓦を葺きました。
その中は、夏でもひんやりするほどです。
住まいをそのような状態にします。こうすれば、夏の深夜も不快な暑さで寝不足になることはありません。
そして冬は、一度温めた暖房の暖かさが朝までじんわりと残るようになります。
ご家庭によっては、冬の布団は使わないので処分したという方も多く聞きます。
春秋用の軽い寝具だけで、朝寒くて布団から出られないということはなくなります。
そしてベットから出た時、床が冷たい!ということもなくなります。
若い方にとっても、快適な生活が送れるようになります。
さらに、年配の方にとっても、冬の部屋ごとの気温差がなくなることで、深夜のトイレを寒いからと我慢することがなくなります。
また、部屋とトイレの気温差でヒートショックを起こし、重大な健康被害をうける予防にもなります。
血圧が高い方には、特に良いのではないでしょうか。
高気密高断熱は冬の間も、寝ている間の女性の大敵を撃退
女性は寝る前のお肌の手入れ大変ですね。
男の私は、しかも昭和生まれの男性にとってお肌の手入れなんて考えたこともありませんが。
いろいろな商品が売られています。
その商品を見ていると、多いのは乾燥対策。
冬の乾燥を気にされている女性が多いのがよく分かります。
その乾燥した空気に、寝ている間も容赦なく襲われているのは、女性は特に敏感に察しておられるのでしょう。
高気密高断熱にすると、温度だけでなく湿度のコントロールもしやすくなります。
湿度は、増えすぎても少なくても良くないのですが、気密をしっかりするとコントロールしやすくなるということです。
つまり、冬の女性の大敵である乾燥対策にもなります。
この人生の1/3を過ごす空間の湿度対策は、カビやダニの発生にも影響があるのです。
結果、子供さんのアトピーの症状も軽減できる可能性があります。
正確な計算をされた高気密高断熱住宅の場合、全館空調が基本的な考えです。
一見、エネルギーを沢山使いそうな感じはしますが、断熱がよく、気密がしっかりとしているとエネルギーロスも少なくなるので、トータルで考えると省エネルギーとなります。
睡眠の質を上げる寝室をつくる方法は、夏も冬も快適に過ごせる家づくりにつながるのです。
まとめ
人間にとって、冬の寒さのなかで睡眠をとるのは睡眠の質はもちろん、その他にも様々な弊害があります。
快適な生活のためには、ある程度の室温がある部屋で寝るほうが良いのです。
その環境を維持するのは、高気密高断熱の家にするのが有力な方法の一つであるといえますね。