高気密高断熱住宅のココに注意!5つのデメリットは本当か嘘か?

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最近の注文住宅の流れで、寒冷地だけでなくここ京都や大阪、滋賀など関西でも高気密高断熱住宅で検討される方が増えてきています。

インターネット上には良いことばかり書かれていますが、欠点やデメリットの情報も。

また、寒冷地では良くても、比較的温暖な地域ならではの欠点も出てきています。

逆に、温暖地域では良いものが寒冷地ではしてはいけないことも。

その土地に合わせた、高気密高断熱の設計が必要なわけです。

ここでは、比較的温暖な地域での高気密高断熱住宅でデメリットになりうる点をお伝えしたいと思います。

また、以前の情報であったり、先行したイメージでデメリットと思われていることも、実は従来型の住まいのデメリットをあぶり出してしまっている事柄も多くあるのです。

これは、私自身ちょっと驚きのことも多くあります。

結果、私がこの高気密高断熱住宅をススメていこうと決めた大きなポイントでもあります。

 

1.よく聞く高気密高断熱のデメリットは本当??

私が家づくりのご相談を受けた時、高気密高断熱についてのお話をさせていただいた時によく出てくる疑問、不安とその解決法や誤解についてお伝えします。

 

1-1. 窓が小さく息苦しいと聞いたんだけど?

高気密高断熱住宅の疑問でよくお聞きするのが、「高気密高断熱住宅って、何か息苦しそう。」というもの。

これは、まだ高気密高断熱住宅の普及初期の頃、欠点としてよく言われていました。

寒冷地で、高断熱住宅が取り入れられ始めたころ、まだ当時は今のように性能の良いサッシがあまりなく、やはり窓からの熱の出入りがどうしても大きくなるために、やむを得ず窓をできるだけ小さくしていた頃がありました。

その時のイメージが、いまだに残っているのではないでしょうか。

当時に比べ、サッシの性能も格段に良くなっており、先駆的にされていた方々の試行錯誤のおかげで、そのようなイメージはなくなり、デメリットとは言えなくなっています。

逆に、地域によっては開放的にしたほうが省エネには有利な状況もあるくらいです。

従来型の住まいでは、吹き抜けを好まれてもエアコンの効きが悪くなるなど、どちらかと言うとそちらがデメリットとなっていましたが、高気密高断熱にすると家全体の室温を快適に一定にする目的から、積極的に吹き抜けを取り入れます。

家の中に吹き抜けのように印象的な部分があると、息苦しさは感じにくくなるはずです。

ほんの10年ほど前まで、日本のサッシのレベルは30年遅れていると言われていました。

ところが、さすがものづくりの日本、高性能住宅先進国のサッシにはまだ及ばない部分もありますが、本気を出せばあっというまに世界レベルに追いつきつつあります。

ただ、樹脂のサッシは世界に追いつきつつありますが、木製のサッシはまだまだ普及が遅れています、こちらはこれからかもしれません。

ちなみに、高気密高断熱住宅の場合、アルミサッシは使いません。

北海道では、すでにアルミサッシの住宅での新規の出荷はほぼ無いそうです。

この様に、高断熱化の欠点であると思われていた窓、そして、その欠点をカバーする為に窓を小くせざるを得なかったことによる息苦しさは、サッシの進歩に合わせて解消されています。

実はこのイメージが残っているため、関西では工務店や設計士の中でも、高気密高断熱のデメリットとして拒否反応がまだまだあります。

息苦しさという点では、高気密高断熱の場合、密閉感はあります。

これはデメリットと捉えるかメリットと捉えるか、人の感じ方によります。

高気密高断熱にすると、壁が厚くなり、外部との隙間も限りなく減りますので、外の音が入りにくくなります。

結果、静寂感を格段に感じるようになる訳です。

これが、息苦しいと感じるか、静かで良いと感じられるかがポイント。

私なんかは、静寂感がある方が好きなのですが、あなたはいかがでしょうか?

 

1-2. 閉め切ってシックハウスやアレルギーになりやすくない?

シックハウスの原因として、建材から出る化学物質が主な要因とされました。

今風の家づくりの、従来からの欠点です。

その為、現在は法律で24時間換気扇を回さなければならないとされています。

高気密の場合、その化学物質が閉じ込められて、余計にシックハウスになりやすいと思われるのかもしれません。

実は、法律で決められている換気の量は実に絶妙に決められています。

健康の為、汚れた空気(化学物質の揮発分も含め)を排出したほうが良い量と、それ以上排出すると冷暖房で使うエネルギーを無駄にしてしまう量の境目の絶妙な量です。

気密があまり良くない建物だと、過剰に空気を排出してしまっているのです。

だから、従来型の日本の家はスースー足元が寒いのですが・・・。

一方、高気密高断熱では、この法律で定められた換気量を守りやすくなります。

これは、化学製品の揮発する成分を含めての排気量です。

ですから、基本的にはこの法律どおりに換気すれば、汚れた空気は十分排気できる計算となります。

ここでも誤解がありますが、高気密高断熱でも換気は必ず行います。

高気密高断熱の場合、換気もしないか、トイレなどの最小限しかしないと勘違いされている場合がありますが、大きな誤解です。

しっかりと計画的な換気がしやすくなるのです。

結果、従来型のように必要以上に空気を排出している、ということを考えるとシックハウス対策には良いように感じますが、従来型には気をつけなければいけない重大な落とし穴があります。

排出する空気の量が多いということは、流入する空気の量も多いということです。

その、流入する空気は当然、綺麗であるというのが前提となりますよね。

もし、室内に流入する空気が汚染されているとしたら、怖い気がします。

その盲点になっている点として、防蟻剤があるのです。

防蟻剤とは、シロアリ対策の防虫剤で、構造の主要な部分の地面に近い部分(高さ1mまで)に材種によって塗布しなければいけないと、建築基準法で定められています。

従来型で高気密でない場合、この薬剤の揮発成分で汚染された空気が室内に入ってきている可能性があるということです。

昔から、毒性が強い農薬系の防蟻剤が使われており一部では問題視されていました。

今は、毒性の強いものは制限されていますが、それでも有機系の薬品が使われています。

しかも、毒性が弱くなった分、効果が5年程度(これはこれで別の問題も)とされています。

この毒性の疑いがある物質が、1階の壁や床から入り込んでいるかもしれないのです。

一方、高気密高断熱の場合、床下も室内と同じ空間の扱いとする場合も多く、この問題にいち早く対応し、通常より安全なホウ酸を使った防蟻剤に切り替えています。

ホウ酸は主婦の方ならご存知かもしれませんが、ゴキブリ対策のホウ酸団子、そう、あのホウ酸です。

ホウ酸は鉱物系の無機物であるためそれ自体は揮発しません、また自然界にある物質で防虫剤というより、消毒剤として使われてきました。

人体への影響は、農薬系に比べれば相当少ないと言われています。

シロアリがこの成分を食べると、巣に帰ってから死んでしまい、その成分が巣全体に行き渡るため、その家には戻らないというのが、ホウ酸が防蟻剤になる理屈になります。

効き目を疑われる向きもありますが、正確には効用も実証されています。

また、その有毒性から農薬系の防蟻剤を使っている国はかなり少ないのが現状です。

同じく、室内の建材にもう少し気をつかうほうがいいのかもしれません。

人体に有害な可能性がある化学物質を13種類認定していますが、規制しているのはたった2種類だけなのです。

その2種類は揮発量に合わせて☆の数で規制されており、最も少ない☆☆☆☆(フォースター)であれば無制限に使えます。

ところが他の、疑いのある11種類に関しては制限はありません。

施主の方から指定しないと、少しでも安く建てようとする業者はおかまいなしに法律の範囲内なら、と安くする為に怪しい建材を使いがち。

気をつけるべき点は、こちらのほうが重大なのです。

高気密高断熱の場合、コントロールして結果的に空気の動く量は減らすことになります。

知らない間に空気が汚染されないよう、予めそのような発生源を使わない、もしくは使わないよう依頼することが大切です。

この点を注意しないと、せっかくのメリットが、欠点だらけになってしまいます。

従来型の住まいでは、知らない間に結果として室内から出ていたというだけの話です。

つまり、空気が密閉されていて、シックハウスになりやすそうなデメリットと心配されていた点は、実は従来型の住まいのほうが危険性が高いということになります。

また、空気をコントロールしやすいというメリットは他にもあります。

詳しくは「子供のアトピーにやさしい家づくり!高気密高断熱による健康快適生活」を御覧ください。

 

1-3. 木のぬくもりを感じられないのでは?

高気密高断熱の場合に限らず、木のぬくもりを感じるか、感じられないかは2通りあると思います。

1つめは、本当に木の材料を内外ともにふんだんに使っているか、そうでないか。

2つめは、内装の材料で見た目が木のものが使われているか、そうでないか。


1つ目の場合、今では都市部ではだんだん見かけなくなりました、真壁造りという建て方で建てられた住まい。

昔ながらの伝統的な住まいの建て方で、柱や梁はもちろん木が見えており、床も無垢の板張り、天井ももちろん木質。

ほぼ自然素材でできた家は、デザインこそ人によっては古臭く感じる方もいると思いますが、化学的な匂いがせず空気も綺麗な感じがします。

このような住まいに比べれば、高気密高断熱で建てる住宅に、同じくらい木のぬくもりを感じていただくにはハードルが高いですね。

できなくはないですが、コストが非常にかかることになります。

一方、ハウスメーカーが広めた今風の建て方、柱や梁はすべてボードで覆い、その上に好きなデザインで装飾する建て方。

この場合、木でできていると見える部分は、本当に木を使っている場合と、ただ木のように見えているけど実際は化学製品という場合があります。

バブル崩壊以降は、木のように見せる化学製品の技術が進んだのと、安価で手に入ることから殆どがこのイミテーション木材が大多数です。

特に安い住宅の場合、建売やハウスメーカーは室内に本当の木を使っている場面がとても少ないですね。

フローリングと言われる床にしても、合板の上にプリントしたものを貼っている、もしくは薄い木の上を化学製品でコーティングしているため、これを木で作っていると言うには少しためらいます。

つまり、木のぬくもりを感じるかどうかの2つめのポイントは、木が見えるデザインかどうかということになります。

これに関しては、高気密高断熱であろうとなかろうと、設計のセンス次第ということになります。

高気密高断熱住宅のデメリットというわけではなく、最近の家づくりの本質的な問題であるのかもしれません。

「木のように見える。」と「木を使っている。」では同じように見えても、そこで生活すると木のぬくもり感は全く違うのでご注意を。

 

1-4. 温室みたいで夏は暑くないの?

比較的温暖な地域で、無計画な高気密高断熱住宅を建ててしまうと、この様なデメリットが確かに出てきます。

よく言われる、なんちゃって高気密高断熱住宅になってしまいます。

そうならない為には、建ててもらう業者をしっかりと選ばなければなりません。

ただ単に、断熱材は何センチです!窓はトリプルガラスです!と言っているだけでは、なんちゃって高気密高断熱になりかねません。

なんちゃって高気密高断熱を掴まないためにも「失敗してはいけない!なんちゃって高気密高断熱の罠」をご覧下さい。

しっかりとした計画、設計をすれば、夏暑いといったデメリットがある住宅にはなりません。

それどころか、夏の寝苦しさも解消され、不快な蒸し暑さもなくなります。

従来の家にありがちな、あの蒸し暑い真夏、冷房がきいた部屋から冷房がきいていないトイレに数分行っただけで汗をかく、という不快なこともなくなります。

高気密高断熱住宅の夏は暑いというデメリットは、失敗作である高気密高断熱住宅のイメージが残っているようです。

ということはあまりよく知らない業者に任せると、同じようなことが起きてしまうということの裏返しですので気をつけてください。

最近では、快適性という面で、デメリットどころか大変なメリットとして広まっています。

 

1-5. エアコンで冬は乾燥しない?

高気密高断熱の場合、従来型の住まいに比べて外気の影響を受けにくくなります。

とは言え、完全に遮断するわけではありません。

この為、自然現象による湿度に関してはしっかり考えなくてはなりません。

実際には、冬は乾燥しやすくなります。

空気中の水分が冬は少なく、その上で建物の中の室温が高くなると、どうしても水分の割合は少なくなってしまいます。

従来型の住まいであれば、隙間が多く適度に冷気と一緒に水分も入ってきましたが、高気密にするとそれは期待できません。

また、従来型の住まいの場合、ファンヒーターなどの暖房機器を使うことが多いですね。

これらの暖房機器は水蒸気を出しますので、空気中の水分を補います。

ただ、高気密高断熱の場合これらの機器が二酸化炭素も相当量排出し空気を汚しますので、使わないほうが安全です。

ファンヒーター好きの方にとってはデメリットなのかも。

建物にとっては、多湿より乾燥していることのほうが良いのです。

気温が低く湿度が高いと結露が起きやすく、暖房によりカビやダニの発生源になりがちになります。

また、この結露が目に見えている場合は対処のしようがありますが、見えない家具の後ろやクローゼットの奥などでは厄介ですし、壁の中などで起きると致命的になります。

このように、建物にとってはできれば乾燥していてほしいのですが、人にとっては乾燥のし過ぎはウィルスの感染等の健康被害も考えられます。

しかも、冬のインフルエンザが多い時期に重なるので、冬の室内の乾燥は見逃すわけにはいきません。

また、女性にとってはお肌の乾燥は大敵かと思います。

このデメリットと考えられている点も、少しの工夫でメリットに変えることもできます。

高気密高断熱の場合、熱交換換気(第1種換気)を取り入れる場合が多くなります。

熱交換と言っても、2種類あり、温度だけ交換する場合と、湿度も合わせて交換するタイプがあります。

厳密に言うと、温暖地の場合は温度と湿度両方交換タイプ、冬だけは温度だけ交換タイプにするのがベストなのですが、なかなかこれを実行するのは難しいので、通常両方交換タイプを採用します。

また、加湿器も上手に使っていただくほか、洗濯物を室内干ししていただくのが結構有効手段となります。

冬の洗濯物の乾かす手段として、室内の加湿と早く乾くという両得があります。

私がお手伝いしている家づくりも、冬に限らず使える室内干しスペースをはじめから設計に織り込むようにアドバイスしています。

最近共働きのご家庭が増え、室内干しスペースが欲しいと考える方も多いのですが、最初から室内干しスペース有りきで設計を進めますので喜んでいただいています。

高気密高断熱にする場合、設計のときから湿度のお話をよくしますので、家を建てられたあとも最初のうちは湿度を気にしていただけます。

ただ、2年3年経つと慣れて自然に過ごされているようです。

高気密高断熱の場合の冬の乾燥しやすいというのは確かにデメリットになりますが、ほんの少し生活の工夫をしていただくことで解消されます。

また、その分は夏は逆も言えます。

夏は、室内に余分な湿気が入り込まないことになり、これは建物にとっても、住む方の健康や快適性にとっても大きなメリットになります。

健康や快適性のメリットに関しては、「寝室を快適にする?生活の質を良くする高気密高断熱の秘密」でもお伝えしていますので参考にしてください。

 

2.デメリットのある高気密高断熱にしないために

お伝えしたように、高気密高断熱住宅にもデメリットになる部分は確かにあります。

ただ、多くのデメリットはしっかりとした計画と設計、施工でデメリットにはならないこともお伝えしました。

つまり、高気密高断熱住宅の本当のデメリットは、この正確な計画、設計、施工をそれぞれできる会社がまだまだ少ないということです。

ここ数年、徐々に増えてはいますが、急速に普及が広がっている分野だけに、流行にのったなんちゃって高気密高断熱住宅の割合も増えています。

温暖地だからなんちゃって高気密高断熱程度でもいいや、と思われると思わぬ不快な欠点住宅になりかねません。

「失敗してはいけない!なんちゃって高気密高断熱の罠」も参考にしてください。

また、いろいろな業者に、話を聞きに行くのも一つの方法かと思います。

数多くの話を聞くと、それぞれの会社のレベルも見えてきます。

正確な情報を集めて、デメリットが多いなんちゃって高気密高断熱住宅を掴まないように気をつけてください。 

 

 

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