プロフィール
《プロフィール概略》
【お名前】:山田 章人(やまだ あきと)
【出身地】:京都
【これまでの生活地域】:広島、高松、名古屋、そして20歳に京都に戻る。
【趣味】:映画、歴史小説、食べ歩き、海外旅行、シルク・ドゥ・ソレイユ。
【既婚・未婚】:妻と二人暮らし。
【性格】:穏やかですが、曲がったことが好きではない。B型特有の凝るところはとことん。
【職歴】:23歳から京都の伝統的設計事務所で8年、その後新進の設計事務所、工務店での現場管理、店舗設計プロデュースを経て、一級建築士事務所設立。
【目標】:世界一周周遊チケットで世界一周旅行。
【音楽】:サラ・ブライトマン、マライア・キャリー、Sade、元ちとせ、夏川 りみ、サザンオールスターズ、玉置浩二、J. S. Bach。
【映画】:未知との遭遇、コンタクト、ゼロ・グラビティ、ダイ・ハード、LIFE、TopGun、幸せのレシピ、フランスの思い出、ギャルソン、ビエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ、火天の城。
【俳優】:ジョディ・フォスター、メグ・ライアン、ハリソン・フォード、トム・ハンクス。
【監督】:ジョン・ウー。
【アニメ・漫画】】:マスターキートン、沈黙の艦隊、宇宙兄弟、ドカベン、ドラえもん、美味しんぼ。
【海外ドラマ】:24、ER、BONES。
【歴史小説】:下天は夢か/津本陽 、関ヶ原/司馬遼太郎 等、日本の戦国時代物。
【食べ歩き】:主に京都、大阪を中心に、日本酒と合う料理が美味しいところを重点的に。
【海外旅行】:〈小さい頃から行きたかったところ〉グランドキャニオン、ウルル(エアーズロック)、オーロラ観測。〈これまで行ったところ〉アメリカ(グランドキャニオン)、オーストラリア(ウルル)、イタリア、オーストリア、ポーランド、チェコ、スロバキア、ハンガリー、香港、マカオ、タイ。〈これから行ってみたいところ〉イエローナイフ(オーロラを見る)、ニュージーランド/テカポ湖(星が綺麗)、ペルー/マチュピチュ。〈印象深くまた行きたいところ〉ハンガリー/ブタペストの銭湯(衝撃的すぎて・・・何時かお話します)、ハンガリー国立美術館(圧倒されました)、オーストラリア/ウルル(心の洗濯に、また行きたい)
《公式ホームページ》
新築・建替え 家escort京都
リノベーション 家escort・リノ
子供の頃はアパート暮らし
はじめまして、山田章人と申します。
子供の頃の住まいは、父の仕事柄転勤も多くアパート、マンション暮らしが多かったです。
京都で生まれ、広島、高松、名古屋、そして京都に戻ってきました。
子供の頃は転校や引っ越しは嫌で辛いものでしたが、今考えるといろいろなところに住めたのは財産でもあります。
そんな転々とした生活だったこともあり、妹もいたので、与えてもらった空間は机ひとつと布団がひける分だけということが多かったのです。
人生を決める衝撃的な出来事
そんなよくあるサラリーマンの家に生まれ始まった私の人生、幼稚園の時に人生を決める衝撃的な出来事が起きました。
背の高い、2階建ての建物。
その建物の窓がない大きなコンクリートの打ち放しの外壁に、小さな背中をペタリと付け、あごを上げて真上の空を見たところ、白い雲が建物からゆっくり流れ出ていくような感じに見えました。
じっと眺めていた幼い私は、
「この建物、動いてる!!。」
と錯覚してしまいました。しかも、
「そうじゃない、この建物が地球を動かしてる!!」
と感じてしまったのです。
(今でも建物を背中にして空を見上げると自分が動いているように見えます。経験ありませんか?ぜひ一度やってみてください。)
その建物が地球を動かしている、それは4才の子供には本当に衝撃的な出来事でした。
しかも自分だけが発見したんだと、まるで映画の主人公にでもなったような気になっていました。
誰かに言いたい、でも内緒にしておきたい、自分だけの秘密のような・・・。
この出来事が、私が建築に興味と憧れを持ったきっかけです。
今思えば些細な、しかも錯覚だらけの出来事でしたが、それが私の人生を決めたのです。
建物が地球を動かしているというのは、小学生になりさすがに錯覚だったとわかりました。
でも、トラウマのような経験は今でも鮮明に覚えています。
そんな経験から子供の頃は、友人とは建物を見る目が少し違っていたのかもしれません。
夢見る子供の趣味とは?
その結果、小学生の時には、新聞折込の間取りが入ったマンションや一戸建てのチラシを集めていました。
毎朝、広告をあさり、間取り図を眺めていました。
よく、母親からは、
「それだけ見てたら、うち(我が家の実家)を建てかえる時はきっと良い家になるわね。」
と、誉められてるのか?茶化されてるのか?分からないことを言われていたのを覚えています。
少し大きくなると、
『狭い部屋でいつも大人になったら自分の家はこんな間取りの家に住みたい』
『自分の部屋はここで(自分の部屋だけかなり広かったですが・・・)』
『学校にはこんな教室があって・・・』
当時通っていた水泳教室の
『プールの屋根がこんな風だったら?』
等などノートに書いていたものでした。
狭い部屋でも、自分にとっては空想を広げられる格好の場所。
インターネットはもちろん、家庭用のゲームですらほとんどない時代、結構一人上手な子供だったのかもしれません。
でも、人並みに公園で野球をしたり、近所の友だちと一緒に夕暮れまで遊び回ることもしていたので、引きこもりというわけでもありませんでした。
そして、今思えば算数、数学の中でも図形を扱う授業は大好きでした。
一方、数字だけを追うのは好きではありませんでした。
そして、中学に上がった頃には室内にいるより外にいるほうが好きになっていたのは、今の時代とは逆なのかもしれません。
今どきの中学生は外でなんか遊んでいないですね。
将来の夢ってなに?
このまま順調に建物に興味を持ったまま成長すれば、大建築家にでもなっていたのかもしれません。
しかし、子供というのは色々なことに興味を持ちます。
私も違わず小さい頃は好奇心の塊、建物に対する興味が無くなる訳ではなかったのですが、他にもやりたいことがいろいろ出てきました。
そのうちの一つは、宇宙。
宇宙と言っても、何になりたいとかは分からず、星を見るのが好きな時期でした。なので、今でも宇宙物の映画は大好きですし、スペースシャトルとか、最新のロケットの打ち上げとかはワクワクします。
そして、もう一つはコンピューターの世界。
中学生くらいの頃、シャープがMZシリーズというパソコン(当時はマイコンと言っていたような・・)が流行っていたり、日曜日の朝「パソコンサンデー」なんていうテレビ番組を見ていたほどでした。(知っている方、いらっしゃったらご連絡を^^;)
高校に上がる時、志望校に合格すればパソコンを買ってもらえるというのを餌に、受験勉強を頑張った記憶があります。
ところが、その約束は父が持っていたステレオが古くなってしまったこともあり、一緒に使うということでステレオに取って代わられてしまい残念でした。
この時、もしパソコンを両親が与えてくれていたなら、私の人生が変わっていたのかもしれません。
その後高校では、テニス部での部活動に明け暮れました。人並み以上に高校生活を楽しんでしまいました。そして、いざ高校から次の進学の進路を決める時、自分が何をしたいのか明確な方向はすっかり忘れていたのです。
ところが、ちょうどその頃引っ越しをすることになったのです。荷物の整理をしていた時、小学校の卒業文集が出てきました。
そして、そこには、はっきり書いてあったのです。
そして、自分自身が驚きました。
なにせ、高校に入ってからは、建物が好きだったなどと言うことは、すっかり忘れてしまっていたのですから。
でも、はっきり自分の字で書いてありました。
将来の夢
「建築デザイナーになりたい」
そして、同時に幼稚園の時の出来事も思い出したのです。
!!
この瞬間、私の進路は決まりました。
夢はかなった
当時は、受験戦争の真っ只中、結局行きたい大学には入れませんでした。
ただ、当時は建築家の安藤忠雄さんがブレイクした頃。
安藤さんは大学に行かず独学でその地位を築かれたのを知っていたので、何故か大学には別に行かなくてもいいや、という安易な考えで建築の専門学校へ入学。
結果的には、私には幸いしたのです。実は、どこの大学でも木造の教育は重要視されていません。
ところが、私が通っていた専門学校は木造のカリキュラムが中心でした。
今となっては木造である住宅を仕事のベースにしたいと考えた私には必然だったのか?それとも、この経験が住宅をメインにする結果となったのかは分かりませんが、良かったのだと感じています。
卒業後は、世代は少し古いのですが、重鎮の設計事務所に入ることができ、じっくり設計の実務の基礎から教えてもらいながら仕事を覚えていったのです。
時代は、バブル真っ只中!
安藤忠雄さんだけではなく、新進気鋭の建築家が脚光を浴びはじめていた時代。
その上、世界中から奇抜な建物を次々に建てにやって来て、そして世界を驚かせていた時代です。
ちょうど今の中国や中東でこれでもかというデザインの建物が乱立しているのは、当時の日本とそっくりです。
そのような日本の建築デザインにとっては華やかな時代ではありましたが、専門学校生が入れる設計事務所はそのような派手なデザインをするのではなく、質実剛健、堅実な設計をメインにしていました。
設計事務所というのは、住宅だけの設計をするというところの方が少なく、様々な設計をします。
私も住宅に限らず、神社仏閣などの宗教施設、商業ビル、スポーツ施設、等などの経験を積ませてもらいました。
その上で、ボスは元々数寄屋建築など日本建築を得意としていたので、木造に関しては他では得られない知識をみっちり教えてもらうことができたのも、今となっては本当に良い経験をさせてもらいました。
そのような経験を積ませてもらうことで、いよいよ一級建築士の受験資格を得ることができました。
働きながらということもあり、数年かかりました。
当時付き合っていた彼女からも待たせすぎ!という理由で振られてしまい、かなり心理的なダメージも背負うことに・・・。
それでも、無事一級建築士の資格も取れ、建築デザイナーになりたいという小さい頃の夢の第一歩は叶ったのです。
夢のその先
建築デザイナーになるという夢は、一応表向きには叶えたことになりますが、この世界で生き抜いていくというのは、他の業界同様簡単ではありません。
生涯雇われのままで過ごしていては、その夢の達成感は半分。
ましてや、独立してちゃんと仕事をいただき、大成功とはいかなくとも生涯建築家どころか設計者として通せるか?などやってみなければ分かりません。
その後、他の設計事務所にも移籍して、経験値は上がっていったのですが、そうなればなるほど方法に疑問も出てくるものです。
これは、どんな職種でも同じだと思うのですが、もっといい方法があるのでは?自分ならこうしたい等々。
雇われの設計者では、やはりその雇われ主に合わせた設計をせざるを得ません。
自由に設計をするには、やはり独立して自分でお施主さんを探さなければなりません。
このようなことを強く意識し、独立を考え一旦所属していた事務所を辞めました。
ただ、すぐ独立して看板を上げるということはしませんでした。
なぜなら、独立するには足りない知識があると感じていたからです。
それまでお世話になった工務店や、他の設計事務所からフリーの立場で仕事をもらいながら、設計事務所としてどのような方針でやっていくのかを自問自答する日々を過ごすことになりました。
世間では、設計事務所といえば図面をちょこちょこっと書いて、高い設計料で儲ける楽な仕事と思われていますが、大きな誤解です。
しかも業界だけでなく世間を震撼させた、姉歯事件。それ以降、それまで以上に責任を大きく問われるようになり、大変な心労を伴う仕事なのです。
自由に設計できるとはいえ建築基準法、特に京都では厳しい条例があります。
世界に稀に見る地震多発地域、そして台風、最近では水害に耐えうる性能の保持。そして、厳しい予算。その上でお施主さんの要望を一つでも叶えようと思うと、設計者が自由にできる部分は本当に限られています。
そして独立したら会社、もしくは事業所として経営を考えなければなりません。
本当にお客さん、お施主は目の前に現れるのか???
自分でもこのように書きながら、よく独立したいと考えたいものだなと感心してしまいます。
でも、若いというのはその時の特権ですね。
当時はなんとかなる!としか考えていませんでした。
見えてきた自分の本当の道
性格からでしょうか?この先は住宅をメインの設計をしていきたいと考えました。
何でも設計はこなすというのは止めよう、と考え方を絞ることを決めたのです。
では、住宅の設計を極めるには?デザイン???
という疑問も出てきます。
デザインと強度、性能、予算、法規のすべてのバランスを取るというのは大変難しいのです。
私がこの仕事を始めた頃は、設計事務所に住宅の設計を依頼される方は、まだまだ富裕層に限られていました。
インターネットのように情報が溢れている訳ではなく、雑誌もありましたがそこには普通の方が住む家ではなく、尖ったデザインを競う展覧会の様な感じでした。
そこにも、今ひとつ踏み込めない自分がいたのです。
いつしか、目標はただ良いデザインの家ではなく、お施主さんにとって居心地のいい家を建てたいという想いが中心にとなっていきました。
「表面的なデザインだけではなく、その建物を使う人に居心地の良さを提供できるような建物、空間を提供する。」
幼稚園のときの衝撃的な出来事に始まった建築との出会いは、紆余曲折もありながら建築デザイナーになりたいという自分の夢を叶え、そしてそれを一つの通過点として住宅の本質を追求する道を見つけることができたのです。
年齢と経験を積み重ねることで、住宅のデザインは衝撃的である必要はない、という結論に至りました。
これには、最初に勤めた設計事務所のボスの言葉も影響しています。
「住宅のデザインは、驚くようなものであってはいけない。」
というものです。
では、平凡なデザインがいいのか?
それも違うと思っています。
『見えないところのデザイン。』
『普通では気が付かないけれど、その空間では重要なポイントになるさりげない設計。』
これが優れている建物が良いデザイン。
と教わりました。
これは、日本の建築美の元来の考え方です。
派手で、華美ではない!けれどそこに居ることが深く印象に残る建物。
難しいですね。
私どもが手がけた住宅、お施主さんや見学会等で実際見ていただいた方からよく言われる言葉
「何が違う?ってよくわからないけれど、なんかいい!」
この一言こそ、居心地が良い住まいを目指す私にとって究極のご褒美の言葉なのです。
そして、住んでいただくお施主さんにとっても、日々愛着を感じていただける深い部分をくすぐる住まいになるのです。
住まいは、どこにでもあるような無味乾燥な建物ではなく、さり気なく心を豊かにしてくれる建物であって欲しいと思っています。
ただ、その感じ方は人それぞれ。
住む方に最適な建物のカタチにしていくのがとても難しく、その分非常にやりがいのある仕事となっています。
最適なカタチとは・・・?
「私にとって最適なカタチって??」
多くの方がそう思われたかもしれません。
最適なカタチを言い表すと、
『自分らしい家』
『ライフスタイルに合わせた住まい』
『人生にフィットした住宅』
と、もっともらしいタイトルのように並べましたが、言葉でうまく言うのも難しいですね。
繰り返しになりますが、それが
『落ち着く家』
『居心地のいい家』
になるはずです。
私が今のようにプロデュースとして家づくりを始めた頃、お施主様との相談の中で、家づくりがスムーズに進む方と、そうでない方がいらっしゃいました。
その差はなんだろう?と試行錯誤していました。
疑問に思う前から、ある方法でご要望をヒアリングしていたのですが、その方法にヒントが隠されてたのです。
家づくりの成功の秘訣は・・・
結論から言うと、家づくりの成功の秘訣は、心構えとしての家づくりの準備がちゃんと出来ているかどうかです。
家づくりの心構えがちゃんと出来ている方は、スムーズに思い通りの住まいを手に入れられているということです。
「なんだ、そんなの当然じゃない・・・。」
と思われる方も多いかもしれません。
または、
「心構え?準備って何」?
と思われるかもしれません。
このブログを書こうと思った理由は、家づくりの意識をほんの少し変えてもらえれば、と思ったからです。
そうすれば、本当に自分らしい、居心地の良い住まいを手に入れやすくなります。
その方法を知っていただきたいのです。
他では言えない家づくりの秘密
住む方にとって最適なカタチを見つけるのは、正直な話、設計者だけでは無理なんです。
設計の打ち合わせをしていても、お施主さんの頭の中を見られればいいのですけど、そういう訳にはいきません。
そして、知られていない肝心なことがあります。
家づくりの準備が十分でないお施主さんは、ご自身が何が快適か、何が心地いいのかわかっていない方が多いのです。
つまり、ご自分のことを、ご自身がわかっていない。
ということになります。
これでは、居心地のいい家をつくることはできません。
家づくりは晩ごはん?
例えば、毎日の食卓を預かる主婦や女性の方ならこんなことありませんか?
今晩何を作ろうかなと考えた時、ご主人や子供さんに何が食べたいか聞くことも多いでしょう。そんな時、「何でもいい。」と答えられたら迷いますよね。
必然的に自分が食べたいものや、ただ安いものになってしまいがちですよね。
ご主人の好みがわかっていても、やはり何が食べたいと言ってもらったほうが満足がいく晩御飯を作れますし、やる気も出るものです。
オーダーでのものづくり、つまり家づくりも同じようなものです。
わからないから任せる、などと言われると、もちろん住む方のことは考えますが、どうしても設計者の好みに偏っていきます。
そうすると、お施主さんの本当の住み心地に向かっているかはフタを開けてみないとわからない、つまりバクチのような家づくりになってしまうわけです。
生活を共にしていない他人ですから、どうしてほしいのかなど分かるはずがありません。
少しでも細かく知りたいのです。
それを、上手にまとめるのが設計のプロだといえます。
居心地の良い家をつくるためには、家づくりの準備は必須なのです。
このブログでは、家づくりの準備をどのように進めたらよいか、何をすればよいか、そしてご自身の心地よさを見つけやすくするようなトピックを中心に、家づくりの情報をお伝えしようと思います。
それが、少し遠回りのようで最適な家づくりの方法だと、多くの経験で分かっているからです。
家づくりの準備とは?
家づくりが上手な方の多くは、頭の中に、新しい住まいでどのような生活がしたい、どう子育てをしたい、休日は何をして過ごしたい、といったことが明確にイメージが出来ている方々でした。
スタートの時点で、様々な質問を私がしても、答えが明確に出てくるのです。
そうでない方は、こちらがいろいろ提案させていただくと、それいいわね、これもいいわね・・・。
結局うまくまとまりません。
つまり、これから生活していくイメージを持つことを心がけていただきたいのです。
今の生活の不便なところ、不都合なところを、家さえ新しくなれば上手くいくようになる、と過剰に期待されているのかもしれません。
でも実際は、どう変えていきたいかをしっかり把握しなければ、また元に戻ってしまいます。
それが分かるようになってから、相談に来ていただいても、私はいきなりプランの話とかはあまりしません。
家づくりの準備として、骨格になる住み方のイメージ作りのお手伝いから始めるようになりました。
意識的にこうするようになって、実にうまくいくようになったと実感しています。
まさに、家づくりと言うように、一緒に家をつくる感覚かと思います。
その上で、お施主さんが望むような家をつくるには、お施主さん自身がどのような家に住みたいかをはっきりイメージしていただいた方が、建てる側も間違いなく進めることができるのは当然のことですね。
家づくりでもう一つ、絶対に忘れてはいけないこと。
家づくりの準備で、もう一つ大切なことがあります。
それは、資金計画です。
建てたい家のイメージができても、お金の準備ができていなかったら、やはり良い住まいは建ちません。
これはお金が十分にあるとか、少ないという問題ではありません。
ほとんどの方は、住宅ローンを利用されると思いますが、今の金利ならどの住宅ローンをどう利用するかで考えなければなりません。
金利が低いからと選ぶだけでは不十分。
しかも、数十年先まで見込んで考えなければなりません。
資金が十分にあるからと言って、全額現金で支払うという方は、本当にそれでいいのですか?と再考いただきます。
ある事をお話して理解されると、ほとんどの方がしっかり住宅ローン等を利用されます。
このように資金を準備できているかどうかではなく、生涯の住宅にかける費用を考える基礎知識が準備できているかどうかです。
この準備ができていると、長期の住宅ローンも安心して利用できるようになります。
結果、安心して住宅を建てることができるわけです。
資金がないから家は買わずに賃貸で、とか安い中古住宅で、と諦める前にこの準備もしていただきたいと思います。
もちろん、ご要望の全てを叶えられるとは言いません。
叶えられる要望の選別は必要になります。
でもこれは、アラブの王様でもない限り大なり小なり必ずあります。
特に日本に建てるというだけで、法的な制限が多く選別しなければいけない場合も多々あります。
その選別をするにも、どう選別するかの根拠としてお金の準備は必要になります。
要望もしっかり、でも予算は限られ新築は難しいなら、それなりの方法を見つけ出すのも私の仕事。
今ではよくされていますが、中古の住宅を購入してリノベーションという方法もあります。
古いマンションを購入し一旦リノベーションし、数年後それを貸し出したり、売却して頭金にしたりするなど方法はいろいろあります。
夢の部分と、現実的な部分、両方を揃えてスタートしなければ・・・。
フワフワした夢のような家のイメージ作りと、現実的なお金の準備をして、初めて自分らしい住まいを、安心して着実に手に入れることができるのです。
これらが揃って、初めて家づくりがスタートできるわけです。
逆にこの両面を準備せずに家づくりを始めると、途中つまづいたり、後から後悔することになってしまいます。
普段の買い物なら、じっくり吟味して、ネット調べも十分に、いくらまでなら払ってもOKときちんとされている方でも、住宅となると勝手が違うのでしょう。
金額が大きすぎたり、支払いが長期にわたります。
そして、何から調べたらいいのかわからないし、調べ始めたら、迷路のよう。
結局、自分が建てたい家って何?となるなど、迷い込んでしまう方をたくさん見てきました。
これを客観的にサポートするのが、トータルプロデュースの本領発揮できるところ。
通常つくる側からすると、予算はできるだけ高く設定してほしいと考えます。
会社によっては、仮契約予算から最終工事金額がどれだけ引き上げられたかを社内で表彰するようなところもあります。(安いと見せかけ契約し、最終的には金額を高く釣り上げる、営業マンの腕の見せ所??)
また、このようなひどい会社でなくても、悪気はなく、より良い家をと考えていろいろ提案してくれる会社も多いです。
依頼する方も、やはり少しでも良いものをと考えてしまい、結局予算オーバーとなってしまいがちです。
また逆に、これは私がまだ設計をしていた時の経験ですが、本当にかけられる金額をお施主さんに言ってもらえなく、予算を小出しにされ、探り探り進めなければならないことがよくありました。
でも、最終的にかかった予算をはじめからきちっと提示していただいていたら、もっと良いバランスの取れた提案が出来たのに、という残念な経験もあります。
お施主さんのできるだけ無駄なお金はかけたくない、という気持ちももちろんわかります。
依頼する時も、どれだけの予算でどのような家ができるのか分からない不安があるから、なかなか本当の予算を言えない、というのもあると思います。
ベースになる考えは、今のお給料がいくらだから住宅ローンをいくらまで借りられる、これが総予算とする、のではありません。
もっと現実的に、生涯収支の中で住宅にかけられる費用を算出する。
この視点で、予算を立てるアドバイスをしています。
このようなことも踏まえて、お施主さんに合わせた無理のない(これ大事です)資金計画を立て、そして第三者の目で予算の管理もさせていただいています。
そこまでするので、最近では建築家の方から、お施主さんの家づくりの準備を依頼されるようになりました。
注文住宅でお考えの方。
それ以外にも、ハウスメーカーの規格住宅でお考えの方。
マンションをご希望の方。
そして、まだどうすればよいか分からないとお悩みの方も、住まいの考え方の原点をお分かりいただけるかもしれません。
一生に一度の大きなプロジェクト
私にとって、幼少期の衝撃的な出来事は、建築が好きになったキッカケかもしれません。
元々、潜在的に建物が好きだったのかもしれないです。
いずれにしても、とても建物が好きです。
日本は豊かになり、食べたいものは何でも食べられるようになりました。
着るものにしても、皆さん個性あふれるファッションで、着心地良く日々を過ごすことができます。
住まいに関しては、手軽に手に入るようにはなりました。
ただ、簡単に手に入りやすくなる反面、愛着が持てる住まいになっているか?というと疑問です。
家に求めるものは何ですか?
今もまだある京都の私の実家。
小さい頃は転勤であちこちに住んでいましたから、ようやく落ち着いた今の実家が唯一小さい頃からの思い出のある家です。
居間には掘りごたつがあるのですが、ある一席は小さい頃いつもお祖父さんが座っていました。
そのお祖父さんの亡き後、私の父がそこに座るようになりました。
その父も他界してしまい、今では私が座る場所になっています。
その実家は、戦前に建てられた家です。
このような仕事をしているので、母からは、
「人様の家を建てるのは良いことやけど、そろそろこの家も・・・。」
と言われることも、たまにあります。
この家には、プラスチック系の材料は一つも使われていません。
木と土と紙と少しの鉄、化学製品といえばガラスくらいです。
とても落ち着きますし、何より愛着もあります。
諸事情もあるのですが、建て替えにはなかなか踏ん切りが付きません。
最近の家は、見た目だけでは木造なのか鉄骨なのかわからない時もあります。
しかも、内装の殆どがビニール系の材料で表面は覆われています。
ピカピカの床は薄い板をビニールでコーティングしたもの。
壁の材料や天井のクロスの材料はビニール。
ドアの材料は圧縮した紙、その上に綺麗に木目のプリントされたビニールを貼れば出来上がり。
昔を知る大工さんは、
「今の家は、ビニールハウスや。」
とよく言います。
掃除がしやすく、安い材料を求めると、どうしてもビニールハウスになります。
私は小さい頃から転々としていましたので、アパートやマンションにも長く住んでいました。
これも、内装はビニールハウス。
このようなビニールハウスには愛着は全く湧きませんでした。
そこでの住まいの思い出も、何故かあまりありません。
唯一、今の実家は子供の頃、帰省でたまにしか居なかったのに、思い出と愛着があります。
私は、こういう愛着がわく家が一番なのだと思っています。
日本の家は、いつまでたってもうさぎ小屋?
昔、ヨーロッパの人に日本の家はうさぎ小屋、と言われたことがあります。
これは、狭い家という意味合いも多少はあったと思いますが、実は画一的で似たような家という意味があったようです。
それから40年近く経ちましたが、マンションはどれも似たような間取り、ハウスメーカーの家も見た目は若干違ったとしても間取りは似たようなもの。
内装も、多少色が違うくらい。
日本は、バブル期をもって高度成長時代が終わり、成熟した社会に入っています。
もう少し、住まいの考え方も成熟してもよいのではないかと思います。
人、家族の生活の拠点であり、それぞれの人生の原点でもあるはずの住まい。
今は、自分で設計はせず、いろいろな建築家や工務店とお施主さんをつなぐ仕事をしています。
自分で設計するとどうしても、私自身の意志が入ります。
図面を書いていた時、本当にこれをお施主さんが望んでいるのか?と悩んでしまい、ペン(マウス)が進まないことがありました。
一度そう考えこんでしまうと、迷宮に入り込んでしまい出口が見えなくなります。
度々このようなことがあると、何のために建築士になったのか?自問自答することもありました。
自分で設計しながら、本当にお施主さんのことを考えるは実は相当難しいのだと感じていました。
それが、今は縁があり第三者として建物に携わる仕事をしています。
そして、この立場でないとできない事が数多くあることにも気が付きました。
その一つが、お施主さんにも十分な準備をしてもらわないと、いい家は建たないと気づいたことでもあります。
簡単に建つ家には、愛着は残りません、残るのはきっとローンだけ、とは言いすぎでしょうか?
愛着を持てる思い入れのある家を、楽しく建てて手に入れてもらう、これが私のモットーです。
家づくりは家族づくり
愛着のある家をお持ちのご家族は、きっと幸せなはず。
幸せに過ごせない家に愛着は持てないですから。
これまでの結果として、おかげさまで、このような住まいのプロデュースを始めて15年弱、今までお手伝いさせていただいたご家族で離婚率は0%!!を続けられています。
ちょっと自慢です。
家づくりは家族づくり、と昔CMのコピーにもありましたが、まさしくその通りだと思います。
簡単に手に入れる住まいもいいかもしれませんが、家族一緒に進める家づくりで絆も一層深まります。
そんな住まいが、1棟でも多く増えていけば嬉しいです。
読んでいただいた方、全ての方の家づくりを、直接お手伝いをするわけにはいきませんが、せっかくの家づくり、楽しんで、そして、そこでの新しい人生をよかった、と思えるような住まいを手に入れていただければ幸いです。
ここまで、読んでいただきありがとうございます。
あまり身内にも話したことがないようなことまで、恥ずかしながら明かしてしまいました。
でも嘘はありません。
ありのままの思いを書かせていただきました。
地に足の着いた家づくりは、人生を豊かにしてくれると信じています。
少しでも、なるほどと感じていただければ、記事の方もきっとお役に立てると思います。
気になるところから、少しずつでも読んでみて下さい。
このプロフィールと重なる部分も多いのですが、まずはこちらに寄っていただけると嬉しいです。
「はじめての方へ」~はじめての家づくり、他では教えてくれない家づくりの順序